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vol.2

みつわ農園の米

 みつわ農園の米は、毎年開催される「米・食味分析鑑定コンクール国際大会」国際部門で10回連続入賞、最高賞の金賞をこれまで3回受賞した実力派です(2023年現在)。農園の最高責任者は永田政和さん。娘の畠中望さんが社長を務め、双子の姉の緑さんや若手スタッフとともに米づくりに精を出しています。

 春、永田さんは日照や風当たりに応じて、どの区画にどの品種を植えるなどを慎重に考え、その年の方針を定めます。夏には水の管理、病害虫がつかないようまめに手入れ。秋になり、米が充分に成長したタイミングを見極め、「今だ!」という秋晴れの日に刈り取ります。収穫した米は、最適な温度・湿度を保った保管庫で3ヶ月から半年ほど熟成させてから出荷します。熟成によってみつわ農園の米は、粒が立ち、噛むほどにおいしさがにじむ最高のごはんになるのです。

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みつわ農園の米 + EIRYO

 私のサロンではメインディッシュの後に、みつわ農園の米を塩むすびにしてご提供しています。米は、畠中望さんがコシヒカリと「にこまる」を1対1の割合でブレンドしたもの。コシヒカリは粒感がしっかり立ち、にこまるは粒がぷっくりして、もちっと弾力のある食感です。咀嚼すると口の中でさらりとほどけ、しっかりと甘みを残しながら消えてゆく。ですから、メインのステーキの後でも「満腹なのに、あっという間に食べてしまった」と微笑んでくださる方が多いのです。

 永田さんの米づくりには、フランスワイン、とくにボルドーとの共通点があると私は感じています。ワインづくりの基本はテロワール、つまりそれぞれの土地の気候風土に合わせてブドウを栽培することですが、永田さんのやり方もまったく同じ。「日照時間や風の抜け具合、川との距離などは区画ごとに違う。だから植える品種も肥料も刈る時期も、区画ごとに全部変わるんだ」というのです。また、ボルドーワインは複数のブドウ品種をブレンドすることで作り手のこだわり、その土地の特徴を表現します。米をブレンドすることで究極の味に整えるという永田さんの手法は、まさにボルドースタイルといえるでしょう。

 永田さんには、うちの米を使うなら銀シャリか塩むすびにしてほしいと言われました。そこで米を贅沢に使い、大きなおむすびを一つお出ししたところ、永田さんに「大きなおむすびは握るときに力が入るので、口の中で米がほどけにくい。優しくふわっとにぎった小さなおむすびを二つにしてほしい」とご意見をいただいたのです。料理人以上に米を知り、最高のおいしさを追求する姿勢に頭が下がりました。塩むすびを朴葉にのせてお出しすることも、永田さんに教えていただきました。これは飛騨の郷土料理、朴葉味噌からの着想です。飛騨の漬物名人、吉眞和喜さんお手製の赤かぶ漬けも華を添えてくれました。このシンプルな一皿には、飛騨の地と知の恵みがつまっているのです。

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みつわ農園 飛騨コシヒカリ、にこまるのおむすび

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畠中望さん(左) 工藤英良(中央) 永田政和さん(右)

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+EIRYO vol.2

2023年11月6日発行

ご協力 :  株式会社みつわ農園 様

発行人 :  工藤英良

写真 :  竹見脩吾

デザイン :  水口麟太郎

編集・文 :  市原淳子

発行  株式会社EIRYO

東京都大田区田園調布5-56-4

TEL.03-6822-2274

 

※印刷、転載などをご希望の方は株式会社EIRYOまでご連絡ください。

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